Jerry Waldron氏
情報テクノロジーの発展の様子は、社会的および文化的な発達によって継続的に形成されます。研究者によれば、消費者は、音声、動画、画像という形で、毎年数百エクサバイトもの情報を生成しているそうです。このようなリッチ・メディアの急増の原動力の1つは、ジェネレーションY(1970年代後半~90年代前半生まれの世代)です。この世代は、今日の情報インフラストラクチャに対して前例のない需要を生み出しており、今後も間違いなくさらに多くの需要を生み出すでしょう。
高等教育環境におけるデジタル・メディアの利用は、企業のCIOが今後どういう状況に直面するかのヒントになります。今日の学生が教育を受けている環境では、多くのリソースを必要とするリッチ・デジタル・メディアの作成や使用が当たり前であり、彼らは卒業後もデジタル・メディアの作成や使用を続けるでしょう。
サリスベリー大学では、ポッドキャスティングからYouTube(動画配信サイト)まで、学生があらゆるメディアを利用しているため、大学職員が学生に提供するサポートが様変わりし、ITリソースに対して新たな課題が生じています。
インターネット接続の規模の拡大
デジタル・メディア・ファイルは、一般には非常にサイズが大きいものです。そのため、多大なネットワーク・リソースを消費する場合があります。この状況は、当校のインターネット接続ポイントでのトラフィックに影響を与えており、校内ネットワークにも影響を与えている可能性があります。過去数年間でデータ・ファイルの種類はますます多様化し、インターネットの利用が拡大しているため、インターネット接続の回線容量を増やさなければなりませんでした。2000年には、接続用に2本のT1(1.5 Mbps)回線を使用していました(合計3 Mbps)。現在は2本のOC-3回線(合計310 Mbps)を使用しており、増加率は10,000%を上回ります。現在は、当校のキャンパス・データベースを保護する一方で、インターネットへの経路をできるだけオープンにするため、ネットワーク・アーキテクチャの再設計を進めています。
当校では、ネットワーク上のメディア・トラフィックを管理するために、パケット・シェーパー装置(帯域制御装置)を使用し、特定の種類のメディア・トラフィックを制限してきました。特定の種類のトラフィックに対して非常に低い制限値を設定し、ネットワークが飽和状態にならないように設定できます。これには効果がありましたが、環境は常に変化しています。Web 2.0コンテンツの出現を受けて、当校では、この種類のメディアを合法的に教育に使用する方法を模索しています。
つまり、好ましいメディアかどうかを判別するためには、新しいツールを使用する必要があるのです。また、ネットワーク・トラフィック・ファイルを監視し、ネットワークの使用状況を詳細なレベルで把握できるツールの評価を進めています。この取り組みにより、教室などの主要な場所に、適切な品質のサービスを提供できるようになります。また、パフォーマンスに影響を及ぼす攻撃やその他の侵入行為を阻止することもできます。
今後は変化のペースがさらに速くなると予想されます。当校では、これまでになく大量のデジタル・メディアを生み出すような学際的なプログラムや施設を積極的に推進しています。従来の講座では、週あたり3~4時間、教室での授業を行っていました。現在は、Webコンポーネントを提供している講座が多数あり、直近の学期ではその数は500以上になります。学生は、教室での授業に2時間、大学の情報インフラストラクチャを通じて提供される補足的なデジタル・コンテンツの視聴にさらに1~2時間を費やす必要があります。そのコンテンツは、音声による講義から、Webプレゼンテーションやインタラクティブ・ビデオなど、多岐にわたります。
学習環境の変化
デジタル・メディアの利用が拡大した結果、当校の教室のインフラストラクチャは変化しました。1998年、サリスベリー大学には、インターネット接続とコンピュータ・プロジェクション・システムを備えた「スマート」仕様の教室は4つしかありませんでした。現在、キャンパスにはこのような教室が120以上あり、特に重要な新しい施設内の教室の一部にもこれらの機能の装備を進めています。
教室以外では、一般的になりつつある遠隔教育のために、IPベースのテレビ会議システムが必要です。Alcatel社の支援により、講師がオンラインでプレゼンテーションを表示できるような同期、または非同期のテレビ会議システムの導入を進めています。
特にサポートが困難なのは、創造的な芸術関連の学科で制作されるメディアです。芸術科の学生が制作するデザインは、デジタル・フィルム、Webサイト、DVD、CDなどのメディアで表現されることもあります。向上心にあふれる映画製作者は、ビデオ作品の台本制作、監督、演出をすべてキャンパスで行います。音楽科の学生は、楽曲の創作と統合をデジタル・データで行います。
これに応じて、当校では大学キャンパスだけでなくハリウッドでも通用するような情報インフラストラクチャを構築しています。2008年までに、約1,860平方メートルの面積を持つ統合メディア・センターを開設し、そのうちの約280平方メートルを高品位ビデオ・スタジオ、録音スタジオ、ビデオ/オーディオ編集施設、デジタル統合ラボ、デジタル写真ラボ、電子アート・ギャラリーとして、また、学生がデジタル・メディアを利用できるマルチメディア教室として利用する予定です。
この新しいセンターでは、コラボレーティブ・テクノロジーに重点を置き、さまざまな大学プログラムに参加する学生や教職員が、デジタル・メディアを扱うプロジェクトで共同作業を行えるようにします。芸術、音楽、ビデオ制作、演劇、舞踊、教育などのアカデミック・プログラムに参加する学生は、多様なデジタル・メディア作品を開発するために、それぞれの分野の理論と原理を適用するでしょう。
このようなコラボレーティブな統合デジタル・メディアへの移行によって生じる課題は、歓迎すべきものです。結局のところ、私は教育者であることが第一に重要でであり、テクノロジーの専門家であることはその次です。ますます多くの学問分野でデジタル・メディアが不可欠になるにつれて、それに取り組むことで得られるスキル・セットは、ほぼあらゆる分野で、卒業生のキャリアに大きな価値をもたらすでしょう。特に、バイオテクノロジーやITの分野でのキャリアを希望する卒業生は、発展し続けるリッチ・デジタル・メディアの世界を歩むのに必要な、豊富な知識を身に着けていることになります。
IT分野への影響は、非常に大きいです。将来の博士、法律家、プロの芸術家にとって、こうしたリッチ・メディア・リソースを利用できることはますます当然のことになるでしょう。したがって、次世代のITインフラストラクチャの計画と構築にも、当校のスタッフや予算を割り当てる必要があります。

